声優志望の方で、オーディションを受けることは避けられないものです。
もちろん、声優になってからも、オーディションを受けることは多々あるでしょう。
とりわけ、初心者がオーディションを受けるときには、演技の課題をどうクリアするか悩む方も多いのではないでしょうか。
今回は、初心者がオーディションに合格するために、どんな演技を心がければいいのかご紹介します。
1)初心者がオーディションで合格するためのポイントはコレ
【1】演技そのものが上手くなくてもいい
演技の上手さというのは何で決まるのでしょうか。
滑舌が良いことですか?発声が出来ていることですか?どれも違うような気がしますね。
ココがポイント
「感情を込めて・・・」などとよく言われますが、そもそも感情は「込める」ものではありません。
その感情に「なる」ものです。
そして、初心者が受けるオーディションでは演技の上手さが決め手になるわけでもありません。
演技の上手い声優はごろごろいます。
でもオーディションに合格していません。いわゆる売れない声優です。
逆に演技が下手な人でもオーディションに合格し、役をつかんでいます。
そのことからも、初心者がオーディションに合格するポイントとしては、最初から演技が上手くなくてもいいのです。
【2】自己PRで自分の魅力をアピールできるか
オーディションの課題として、演技があるのはもちろんですが、自己PRがあることも多くあります。
特技として歌を披露する人やダンスをする人もいます。
ココがポイント
自己PRでは限られた時間の中で、自分の魅力を理解して最大限にアピールできることがオーディションに合格するためのポイントになります。
審査員の目に留まるような、印象に残るような自己PRができるように準備しておく必要があります。
よく、あんまり特技がなくて自己PRで何をしたらいいのかわからないという人がいます。
そんな時は、自分の特技ではなく、自己PRの話の仕方を考えてみましょう。
自己PRを自己紹介のようにする人が多いですが、自己PRは自分の人となりを見てもらうものです。
「印象に残る」をキーワードに考えるといいですよ。
別の言葉だと「個性」ですね。
【3】その役に合っているかどうか
最後のポイントはその役に合っているかどうかです。実はこれが一番大きいのです。
オーディションをする側(主催者側)の気持ちになって考えてみてください。
例えば、太ったオバサン役のオーディションをするとしましょう。
ここに、か細い声の声優さんは合うでしょうか。
合格させるとすれば、太い声の声優さんを選ぶ可能性の方が大きいですね。
他にもカッコいいイケメンの役のオーディションをした場合、声が2枚目の声優さんを選ぶのではないでしょうか。
しかし、場合によっては、敢えて反対の声質の声優さんを選ぶかもしれませんね。
このように、そのオーディションで、どんな声質の声優さんを求めているか?が重要だということなのです。
「このキャラクターにはこの声だ!!」とクライアント側のイメージにピッタリ合えば、初心者でも合格の可能性は十分にあるのです。
2)初心者向けのオーディションを受ける
【1】周りも初心者なので安心
とはいえ、初心者は場慣れしていなくて、自分が思った以上に実力を出せないことが多いですね。
経験者ばかりのオーディションを受けると、不安ばかりが押し寄せてきます。
周りを見ても、みんな上手く見えてくるものです。
その点、初心者向けのオーディションを受ける場合は、みんな初心者なので、緊張も不安もみんな同じです。
安心してオーディションを受けられます。
【2】演技の上手い下手ではないところを見ている
前述しましたように、経験者であってもそうですが、演技の上手い下手は二の次です。
初心者の中でも、センスがある人はたくさんいるので、そんな人の次だったりすると、悲観的になるのもわかります。
でも、選ぶのは審査員なので、周りと比べて悲観するのはもったいないです。
自分の個性を理解していれば、その個性は唯一無二のものなのですから、その個性が選ばれるかどうかというだけなのです。
3)初心者向けのオーディションの演技の課題
初心者向けのオーディションを受ける場合、演技の課題はどうやれば合格に近づくのでしょうか。
声優の場合は、以下の3点を重視して合格させているのではないかと思います。
【1】「今」でなくていい「これから」できるかどうか
現状で演技が上手い声優さんは、山ほどいます。
声優事務所は、小規模の事務所も入れるとスゴイ数です。
その中に演技が上手い声優さんはどれくらいいるのでしょうか。
「事務所に所属できる=及第点の演技ができる」ということです。
事務所側も演技が下手な人を所属にするはずがありません。
だいたいどの役でも、80点以上はとれるなという人を所属にします。
では初心者向けのオーディションでは、演技のどのポイントが大切なのでしょうか。
これは、現状の演技の上手さを見ているわけではありません。
これから先、伸びしろがある人を見ているのです。
ココがポイント
今はまだコツが掴めなくて、いまいちな演技ができないとしても、1カ月、2か月と稽古をしていくにつれ、コツが掴めるようになるか?を見ています。
【2】基礎能力を見られている
これからの演技を見られているとは言っても、滑舌が超絶悪くて何を言っているのかすらわからない人は、合格は難しいでしょう。
初心者向けオーディションを合格するには、滑舌や発声など、基礎能力がそれなりにできていないと厳しいと思います。
アクセントについては、オーディションで指摘されたら、すぐに修正することができる人が望ましいです。
声優の仕事は、スタジオを使う時間も限られており、新人声優のために何テイクも収録するようなことはできません。
そのため、最低限の基礎能力は必要ということになるのです。
【3】配役とイメージが合うか
「運も実力のうち」と声優業界ではよく言われますが、ここでいう運というのは、自分の声質や演技の質がそのキャラクターにピッタリくるかということです。
クライアント側のイメージが、自分の声質と演技に合うのであれば、初心者向けのオーディションでも合格できる可能性は高いです。
また、その時代の流行りというものも「運」と言えるでしょう。
アイドル声優が一般的になってきた今は、もしかしたら、演技力よりも容姿や歌唱力がクライアント側の求めるものと合致すれば、合格できる可能性が高いですね。
4)初心者はどんどんオーディションを受ける方がいい?
初心者であれ、経験者であれ、オーディションに合格できなかったときは落ち込むのは当然のことです。
筆者もまだオーディションを受けることもありますが、合格できないときは落ち込みます。
それでも、気持ちを切り替えて、次のオーディションを探し、それに向けて準備します。
初心者向けのオーディションで合格できなかったとしても、気持ちを切り替えて、次のオーディションをどんどん受けてみましょう。
【1】場慣れすることもスキルになる
なぜオーディションをどんどん受けた方がいいのでしょうか。
オーディションを受けるときには緊張しますね。
でも、オーディションを繰り返し受けるうちに、人間はその環境に慣れていくものです。
緊張しなくなるのは、普段の自分のままオーディションを受けることができるようになるということでもあります。
自宅で練習した成果を発揮しやすくなるという意味で声優としてのスキルにもなっていくのです。
【2】自分で営業することにもつながる
声優なると、自分で仕事をとってくるということも必要になります。
大手声優事務所では、営業を禁じているところもあります。
しかし、中小事務所では自分から営業をかけて、仕事を取りに行く姿勢も大切です。
別のオーディションを受けて、クライアントが以前のオーディションを受けて印象に残っていたので合格したということもあり得るのです。
また、自分でオーディション情報を集めて、オーディションを受けることで、自然と営業力が身に付きます。
【3】周りの人のやり方を学ぶ
オーディションを何度も受けることで、場慣れすることも手伝って、周りがよく見えるようになってきます。
周りの人がどうやって演技しているのかを観察する余裕が生まれます。
そのオーディションではできないと思いますが、自宅に帰って真似してやってみることで、自分の演技の引き出しが増えることにもつながります。
声優は人生の経験が結構重要です。
少しずつ演技にも幅が出て、できないこともできるようになっていくために、周りの人から学ぶことも大切なのです。
まとめ
初心者の方からのご相談をいただくことがありますが、悩んでいるというよりは、自信がなくて、大抵「不安」になっていることが多いように感じます。
初心者は、未知の世界に踏み込むわけですから、不安があって当然です。
それでもオーディションを受けて、失敗して、そこから学ぶことが多くあります。
もちろん初心者で合格できるのはすごいことです。
初心者向けのオーディションをどんどん受けて、自分の経験値を増やし、レベルアップしていきましょう!