声優養成所に入るときに、ほとんどの養成所は、入所オーディションに合格する必要があります。
専門学校には、オーディションがないところが多いです。
声優養成所は、専門学校に比べると学費は安めで、その事務所に所属するためのレッスンを受けられます。
では、声優養成所はどんな風に選べばいいのでしょうか。
また、多くの声優養成所が行う、オーディションの内容と対策をご紹介します。
まだ間に合う声優養成所の選び方
声優養成所といっても、大まかに分けると、「育成型」「ふるい落とし型」の2種類あります。
【1】初心者が行くなら育成型の声優養成所
初心者の場合、発声や滑舌、演技の基礎など、基本的な内容を教わりたい方が多いですよね。
それなら、育成型の養成所をおすすめします。
育成型の養成所では、ダンスや声楽など、表現者としての基礎となるレッスン内容も盛り込まれていることもあります。
逆に演技経験がある方だと、物足りない可能性があります。
【2】ふるい落とし型の養成所に行くとかなり厳しい
初心者がふるい落とし型の養成所に行けないということはありません。
しかし、基礎を学ばないままだと、周りが経験者ばかりということがプレッシャーになることもあります。
経験者だから有利というわけでもないのですが、なかなかレッスンについて行きにくい可能性が高いのです。
ふるい落とし型の養成所は、募集要項に明確に記載されている場合もあります。
しかし、記載されていない養成所もあります。
オーディションに合格すれば、基準のレベルはクリアしているとみなされているということですね。
ふるい落とし型養成所は、養成期間が短いことが多いので、養成所選びのポイントになるでしょう。
【3】卒業後の進路を明確にしよう
アニメも映画も、ラジオもやりたい!と考える方は多いです。
ベテラン声優さんがマルチに活躍しているのは素敵だと思って当然です。
しかし、声優事務所にはマネージメントの得意分野がある程度決まっています。
あくまでも得意分野なので、他分野の仕事が全くないわけではありません。
新人声優としては、なるべく仕事を多く受けた方がいいはずです。
ココがポイント
自分が行きたい養成所の卒業後、その事務所の得意分野が自分の行きたい進路とマッチしているかも考えて選びましょう。
声優養成所に入るための条件をチェック!
入りたい養成所がある程度絞れてきたら、オーディションの準備をしましょう。
【1】年齢制限
最近では年齢制限がない養成所も増えていますが、大手事務所の付属養成所には年齢制限があるのが普通です。
声優になってからの成長度合いや需要が若い人の方が、期待が高いのは当然ですね。
まずは自分が行きたい養成所の年齢制限をチェックしましょう。
【2】演技経験の有無
「演技経験一年以上か同等の演技力」と募集要項にある場合、ふるい落とし型の養成所である可能性が高いです。もちろん初心者でも合格することは可能です。
しかし、オーディション自体が演技経験者向けであるため、ハイレベルになることは間違いないでしょう。
演技経験が必要なのか、初心者でも問題ないのかチェックしましょう。
【3】学費の支払い額や支払い方法
せっかく合格しても、学費が支払えないのであれば、その養成所に通うことはできません。
決して安くはない学費ですので、分納可能か一括支払いなのかなど支払う金額と支払方法を確認しておきましょう。
もちろん保護者が負担してくれる場合でも、事前に了承を得ておきましょう。
【4】入所オーディションの日程
あらかじめ入所オーディションの日程は確認しましょう。
そこから逆算してオーディションの準備をする必要があります。
必要な書類をそろえたり、写真を撮ったりと、やることは意外に多いです。
【5】入所オーディションの内容
「書類選考」とか「面接」とか「実技」とかいろいろとオーディションの内容がホームページには記載されています。
それに合わせて、オーディション対策を進める必要がありますので、内容はしっかりチェックしましょう。
よくある声優養成所のオーディション内容
ここからは、声優養成所の入所オーディションでよくある内容をまとめてあります。
自分が行きたい養成所はどんな内容になっていましたか?
【1】書類選考
会社に入る履歴書のようなものです。芸歴書と言われることもあります。
学歴や芸歴を書いて、写真をつける形式が一般的です。
ここで重要なのは、写真です。適当に撮った写真だとそれだけで印象が悪くなってしまいます。
できれば、フォトスタジオでしっかり撮影したものの方が印象はいいですね。
【2】面接
「なぜ声優になりたいか?」「どんな声優になりたいか?」など、就職活動でもよく聞かれるような内容であることもあります。
内容はもちろん、思いがけない質問をされた場合にそのときの反応を見ている可能性も高いです。
自分が行きたい進路に対して、しっかりと根拠を答えることが重要だと思われます。
【3】実技
よくある実技内容は以下のようなものです。
育成型養成所の場合は、上手いか下手かというより、入った後にレッスンにもついていけるかどうか、また事務所の雰囲気と合うか、事務所が欲しい人材かどうかを見られることが多いと思います。
(1)滑舌
滑舌よくしゃべることが出来るかどうか、出来ない場合は、それを直すことが可能かどうかを見られています。
(2)セリフ
基本的な喜怒哀楽の表現を見られています。
普通の人間が出す、普通の感情を、普通に表現できればOKです。
(3)朗読
セリフと異なる点は、「地の文」(セリフではない語り)が入っていることです。
セリフと表現方法が変わりますので、その切り替えを見たいのではないかと思われます。
(4)エチュード
エチュードとは、「短い芝居」のことです。
1人の場合だと、感情表現の幅を見ている可能性が高いです。
2人以上のエチュードの場合、相手のセリフを聴いてからの反応を見られているのだと思われます。
(5)ナレーション
情景の説明や商品の説明など、そのイメージを人に伝えることができるかどうかの表現テストです。
滑舌の粗も目立ちますので、滑舌をナレーションでチェックされることもあります。
【4】自己PR
決まった時間で、自分という人間がどのような人間なのかをアピールすることが出来るかどうかのテストです。
自分の長所や欠点、どんなことが得意だと認識しているのかが重要です。
芝居は自分の性格が顕著にでますので、「己を知る」ことが出来ているのかも見られています。
声優養成所のオーディション対策をしよう!
残念ながら、オーディション必勝法なんてものはありません。
しかし、声優にとって何が大切かを理解しておけば、ある程度の対策は可能です。
【1】自己PRを練習しよう
入所オーディションだけでなく、事務所の所属オーディションでもよくある課題です。
自分の長所や短所をきちんと理解しているか、自分の特技や特徴などの表現も見られていますよ。
練習方法は簡単。自己PRの内容を決まった時間に伝えることが大事なので、ストップウォッチを準備しましょう。スマホのストップウォッチでもOKです。
時間制限が違うことがあるので、話す内容も異なります。1分、30秒、2分、3分のバージョンを練習しましょう。
1分につき1つの話題くらいが限界です。30秒バージョンは、自分のCMをするイメージを持つといいと思います。
【2】喜怒哀楽のセリフを練習しよう
初心者の段階で、スゴイ演技を求められるわけではありません。喜怒哀楽という普通の感情を普通にできるかがポイントです。
「おはよう」というセリフを喜怒哀楽でそれぞれ練習しましょう。
言葉自体が感情を持つわけではありません。その前に「心がその気持ちになる何か」が必ずありますよね。
例えば、オーディションに合格したという知らせを受けて「おはよう」と言ってみましょう。
自然に「喜」という感情になっているはずです。表情も自然に嬉しい表情になりますね。
セリフには必ず感情が伴います。
常にその状況をイメージしながらセリフを言う練習をしましょう。
【3】声優になりたい理由を考えておく
面接でよく聞かれる質問です。「俳優」でもなく、「歌手」でもなく、なぜ「声優」なのかを事前にまとめておきましょう。
ココに注意
ここで注意したいのは「声優のファンだから」「アニメのファンだから」という理由です。
声優になりたいと思ったきっかけや声優を知ることになったきっかけは、「声優のファン」「アニメのファン」だったからだと思います。
しかし、もっと奥深くまで自分を追求しましょう。
「なぜ声優なのか?」という軸がしっかりしていないと、ファン止まりだなと思われてしまうのです。
【4】将来どんな声優になりたいかを考えておく
この質問も王道です。将来像を描き伝えることで、事務所に合うかどうかも見られています。
舞台や歌も歌って、マルチ声優になるという答えもいいでしょう。
しかし、すでに事務所へのアピールは始まっています。
嘘をつく必要はありませんが、その事務所とかけ離れたジャンルに重点を置くと、「合っていない」という判断をされる可能性があります。
特にふるい落とし型養成所はその傾向が強いでしょう。
どうしても声優養成所に行くのが無理なとき
声優養成所に行くのがいろいろな理由から難しいこともあるでしょう。
学費の面や保護者の了解が得られないなど、「早い方がいいのに行けない!」場合でも、声優になるためにできることはたくさんあります。
また焦って、自分が納得できないまま声優養成所に行っても意味がありません。
【1】声優養成所でなくても声優の勉強はできる
例えば滑舌の練習。
これは声優養成所のレッスンで習うことでもありますが、実際に練習するのは、自宅でのことが多いです。滑舌の本でもいいですし、ネットにもたくさん教材はあります。
野球の素振りと同じで、滑舌の良さは訓練でしか得られません。サボると一気に滑舌は悪くなります。
漢字の勉強をしたり、ボイトレに通ってみたりなど、声優養成所に入ると、時間がなくてできなることもあります。
短期で参加できるワークショップもおすすめです。
自宅でのトレーニング方法を学べるワークショップに参加して、その後自主練は自宅で行うと良いでしょう。
【2】お金を貯める一年にする
声優になるためには養成所の学費は結構かかります。
その養成所だけに通って事務所に所属できない場合もあります。その場合、別の養成所を探してまた通うという可能性もあります。
筆者は、声優の勉強を始めてから7、8年かかったので遅い方ですが、声優養成所には3校通いました。
学費は合計で200万円くらいはかかっています。
1校目は保護者が負担してくれる場合でも、その後は自分で支払うこともあるので、お金は貯めておいた方が安心です。
1年間しっかりアルバイトをして、お金を貯めるための時間と考えるのもいいでしょう。
【3】いろいろな作品を見て進路を明確にする
行きたい養成所がなかなか見つからなかった場合、自分自身を見つめなおすという時間も必要です。
映画を観たり、舞台を観たり、アニメを観たりもいいのですが、例えば絵画展に行く、博物館に行くなど、声優と少し離れたジャンルの作品に触れることもいいことです。
声優も表現者なのですから、ジャンルは違いますが、芸術に触れることで心を動かされることになります。
それが声優としての演技にも活きてくるのです。
まとめ
声優養成所に合格することは、声優になるための第一歩です。
入所オーディションまでに、自分自身とはどんな人間なのか、どんな人生を送りたいのかをしっかり見つめて、まとめておくことが大切です。
滑舌や感情表現など、オーディションまでに対策できることもしっかりやって、声優になるためのスタートラインに立てるよう頑張りましょうね。