「コネ」という言葉を聞くと、あまりいいイメージがない人も多いですよね。
会社などで、「コネ入社」だとか言われると、その人の印象は悪いものです。
声優の世界にも表立って言う人はいませんが、確かに「コネ」はあります。
このコネは声優にとって大事だということをご存知でしょうか。
声優にとってコネは大事



【1】コネは悪いことではない
本来コネというのは「コネクション」(つながり)という意味です。
声優にとってのコネというのは、人と人のつながりから仕事につなげるということなので、悪いことではないのです。
コネにも良いコネと悪いコネがあります。
ココに注意
例えば、枕営業で作ったコネはいいコネとは言えません。
本来の「コネ」の意味からはかけ離れているのです。
ちなみに、声優業界で枕営業という話は聞いたことはありません。
裏の世界にはあるのかもしれませんが…。
【2】コネは声優にとって非常に大事
声優にとってのコネは非常に重要です。
コネがあるかないかで仕事量に大きく影響します。
名探偵コナンのあゆみちゃん役でおなじみの声の岩井由紀子さんは、コネで仕事をつかんだエピソードを持っていらっしゃいます。
岩井さんは、コナンの仕事が決まる前までは売れっ子とは言えない声優の一人だったそうです。
もちろん、小さな仕事はそれなりにこなしていたということですが、レギュラーのアニメの仕事はなかったそうです。
そのため、もう声優を引退しようとしていたのです。
しかし、ある飲み会に誘われ、最後だからということで参加しました。
その飲み会でコナンのディレクターさんからオーディションに応募してみないかと言われ、最後のつもりでオーディションを受けました。
結果は、見事あゆみちゃん役を勝ち取ったということです。
このように、例え飲み会であっても、ひょんなことで売れっ子声優の道が開けることも珍しくありません。
その道がなぜ開けたのか?もうおわかりですよね。
それまでの岩井さんが作ってきたコネが生きた結果に他なりません。
コネの作り方


【1】事務所に所属する前からコネ作りは始まっている
実は事務所に所属する前から少しずつコネはできていきます。
例えば、事務所の社長がレッスンを見に来てくれたときに、目に留まるような演技ができたとか、先輩声優さんが来てくれたときに強く印象に残ったなどが、強力なコネになることもあります。
ココがポイント
声優の業界は縦社会なので、社長やスタッフの方、先輩の目に留まることで、何かの折に思い出してくれ、事務所に入る後押しをしてくれることもあります。
【2】コネの始まりは挨拶から
では、どのようにコネを作ればいいのでしょうか。
当たり前のことですが、「挨拶」は非常に重要です。
挨拶は第一印象を決めるといっても過言ではありません。
レッスンを受けるとき、現場に入るとき、気持ちのいい挨拶をする新人に嫌な印象を抱く人はいないでしょう?
他にも礼儀正しいとか、一般常識がわかっているとかそういうことも大切なことですよ。
【3】飲み会にも参加しよう
レッスン後や仕事が終わった後など、飲み会が開かれることは多いです。
一緒にお酒の席につくことで距離が縮まると考える人が多い業界です。
先にご紹介した岩井さんのエピソードでもそうですが、ディレクターが配役の権限を持っていますので、特にディレクターが参加する飲み会には参加しておくことをおすすめします。
飲み会の場でしか出ないオーディションの話があることもあります。
もちろんお酒が飲めない人は、飲まなくてもOKです。
無理にお酒をすすめる人はあまりいないので、安心してくださいね。
コネをどう生かせばいいの?


【1】自分から積極的にアプローチする
筆者が通った声優養成所の話です。
院長が自らレッスンをしてくれるのですが、1番に手を挙げた人にだけ、レッスンの半分以上の時間を使って、稽古をつけてくれるシステムでした。
2番手、3番手は余程いい芝居をしない限り、「はい、次」の一言だけで終了です。
最後の方になると、時間切れでレッスン終了となることも珍しくありませんでした。
最初に前に出るのはとても勇気が必要です。
筆者は、周りに合わせて手を挙げていたため、1年目はずっと「はい、次」組でした。
声優の業界は、自分からどんどん積極的にアプローチしないと誰も見てくれない世界です。
周りの様子を伺って、手を挙げて…とやっているのでは、大切なチャンスを逃してしまうのです。
「試しにやってみないか?」とか「こんなオーディションがあるけど…」という話は、積極的にアプローチする方がチャンスは多く巡ってきます。
【2】巡ってきたチャンスを逃さない!
声優養成所のときに、2グループだけが発表できる寸劇の発表会がありました。
声優養成所の場合は、講師=ディレクターです。
1学年100名くらいで、そのうち出演できるのは16名ほどです。
合同練習会のときに、発表予定の子の一人の出来が良くなく、講師から役を下ろすと言われてしまいました。
その時にスタッフがいなかったため、照明の係で参加しないかと言われましたが、その子は「もう参加しません」と帰ってしまいました。
その子は、役をやりたい一心で帰ってしまったのでしょう。
しかし、これが仕事だったらどうでしょう?
芝居は、誰かが欠けても成立しません。
「この役はやりたくない」と言うほど選べる立場になるのはまだまだ先の話です。
もしかしたら、講師も最後のチャンスとして時間を与えただけなのかもしれません。
ココがポイント
どんな仕事であっても、チャンスが巡ってきたら、逃してはいけないのです。
【3】コネを作ることは恋愛と似ている
突然ですが、恋愛ってどういう風にアプローチしますか?
ちょっとずつ、距離を縮めて、良い印象をもってもらうように振る舞いますね。
好きだという気持ちをさりげなく伝えたりして、相手に意識してもらうようにもします。
コネ作りは恋愛と似たところがあります。
最初からはっきり「役をください!」と最初から言うのでは、相手も引いてしまいます。
まずは、良い印象をもってもらうところからスタートです。
収録の見学にも行けるようならどんどん参加しましょう。
ココがポイント
「だれかこの役やってくれる?」と言われたら、迷うことはありません。
「やります!」と1番に手を挙げるのです。
【4】さりげないアプローチもアリ
積極的にアプローチすることも大切ですが、あざといやり方はおすすめしません。
飲み会でディレクターにこれ見よがしに近寄って媚へつらう人もいますが、逆効果になることもありますので注意してください。
ディレクターだけでなく、他のスタッフさんや先輩声優さんたちもいますので、場をわきまえたアプローチをしましょう。
コネだけあってもダメなんです


【1】コネのみで声優を続けることは難しい
さて、ここまでコネは大切とお伝えしましたが、コネのみでずっとお仕事がくるわけではありません。
コネがあることでチャンスは巡って来やすいと思いますが、それを次に繋げる力も必要です。
具体的には、「演技力」とか「滑舌」とか「発声」とかです。
声優の基礎力です。
コネで呼ばれたのはいいけど、「ヘボ役者だった…」と思われると、だんだん仕事も減っていきます。
コネを十分に生かすことができる声優としての基礎力がしっかりついていることが、仕事が継続できる声優になることにつながります。
【2】預かりやジュニア時代は上手くコネを作ろう
預かりやジュニア時代はギャラが安く、制作側から見ても「お試しセール中」なので、比較的仕事が来やすい時期です。
その時期にスタッフさんやディレクターの方とコネが上手く作れれば、ランカーになっても仕事は継続して来やすくなります。
ココがポイント
たくさんの人と一緒に仕事をして、顔と声と演技を覚えてもらい、ランカーになっても思い出してもらうことができれば、売れっ子声優も夢じゃありません。
まとめ
コネは大切なものですが、それだけでは声優としてはやっていけません。
まずは、声優としての基礎力があって初めて、コネが生きてくるのです。
また、コネを作る!という意図的な考えは良くありません。
ディレクターも数々の声優を見てきているのですからお見通しです。
人と人とのつながりを大切にして、自分と仕事を一緒にしたことが楽しい!と思ってもらえるように良いコネを作っていきましょう。