声優になるということは厳しいということは有名ですね。
では、どれくらい厳しいのでしょうか。
数字で言うと、現在声優志望者は30万人、そのうち、声優として所属できる人が1万人、声優の仕事だけで生活できるのが300人という情報があります。
この数字が正確かどうかはわかりませんが、筆者の経験から考えると妥当な数字です。
声優事務所の中には、同じ声の仕事をしていても、立場はいろいろあります。
「預かり」「所属」と大きくわけると2つです。
今回はその違いについて詳しく見ていきましょう。
声優事務所に入ってからの進路


声優養成所に入所して、その後の養成期間は養成所によっても異なります。
その後の進路については、だいたい同じです。
【1】声優事務所「預かり」
簡単に言うと「所属の1歩前」です。
預かりの期間も事務所によって異なります。
この預かりの間に実績を積み、再度のオーディションで合格すると正式に「所属」となります。
オーディションがなく、事務所が選定することもあります。
【2】声優事務所「所属」
預かりの期間の最後のオーディションで合格すると、その声優事務所の正式な所属となります。
通常は所属になった時点で、「声優」という職業として認識されます。
ただ、所属になったからといって、どんどん仕事が来るわけでもありません。
さらなる努力を重ねて、実績を積みながら、声優としての商品価値を高めていく必要があります。
預かりの立場ってどんなもの?


【1】正式所属にはできないが見込みがあるという合格
預かりには、事務所によっても意味合いが異なります。
1つ目は、大手事務所の場合の預かりの場合です。
大手事務所の預かりは多くが将来的には正式に所属を見込んでの選定です。
大手事務所の養成所では、何百人もの声優候補から数名の「預かり」を選定します。
この預かりの人数は、事務所によってもその年によっても変動します。
全く預かりの合格者がいないという場合もあります。
この場合はどちらかと言えば、ポジティブな意味合いでの預かりです。
預かりまで進むことができれば、正式所属まで行くことも多いです。
【2】猶予を与えて、どれくらい成長するかを見る
2つ目は、小規模の声優事務所の預かりの場合です。
小規模の声優事務所の場合、養成所生の延長のような状態で「とりあえず預かり」の立場です。
ココがポイント
もう1年くらい猶予を与え、仕事のオーディションを受けて、自分で仕事を勝ち取ってきたら、所属になれるかも・・・というような立場です。
極小さい規模の声優養成所の場合、クラスのほとんどが一旦預かりまで進みます。
その後、1年自分で営業したり、オーディションを受けたりします。
所属に値する仕事の量が取れるようなら、所属になるというどちらかと言うと、ネガティブな意味での預かりです。
預かりから所属になれる可能性も低いので、最後のチャンスと思って、その期間は特に積極的に行動しなければなりません。
【3】預かりであっても仕事は来ることがある
大手事務所の預かりでも小規模事務所の預かりでも、仕事のチャンスはあります。
大手事務所の場合は、オーディションの話もたくさん来ますので、どんどんチャレンジし、実績を積みましょう。
小規模事務所の場合は、営業自由ということも多く、自分からどんどん仕事を見つける必要があります。
ココがポイント
事務所側から営業を積極的に行ってくれることはありませんので、かなり積極的に自分で仕事を取ってくることが所属への条件であることが多いです。
場合によっては、事務所側からお試しのような扱いで、出演依頼が来ることもあります。
ここで、共演者やスタッフに良い印象を与えることができれば、所属になれる可能性も高まります。
逆に、悪い印象になってしまうと、所属の候補から外されてしまう可能性もあるので、気を引き締めて臨みましょう。
【4】預かりの時期は一層積極的になろう
大手事務所の場合も小規模事務所の場合も、預かりから所属になれなければ、残念ながら、その事務所には必要ないということです。
その場合は、他の養成所に入り直し、また1から所属を目指して努力する日々が続きます。
ココがポイント
預かりの期間は、特に自分の声優としての商品価値を高め、声優事務所に自分を所属させることでメリットがあると思ってもらうことが重要です。
言葉で「やる気があります!」と言われても、そんな人は飽きるほど見ていますので、「結果がすべて」だと思ってください。
その結果を見せるには、自分から行動し、オーディションを受け、仕事をたくさんとってくることです。
たくさん仕事を取ってくることができる声優は、事務所側も欲しいに決まっていますので、正式所属になる可能性は格段に高まります。
所属の立場ってどんなもの?


【1】所属になっても事務所では新人
正式に所属になったからといって、事務所の中では下っ端であることに変わりありません。
同じ事務所の中でも先輩・後輩の立場もありますので、その縦社会の中で自分の実力を発揮することが大切です。
【2】正式な契約書を交わす
正式に所属となると、事務所と契約を交わします。
契約の条件は、事務所によっても異なります。
おおよそ以下のような内容です。
- 契約期間
- ギャラの配分について
- 自身での営業の可否
- 事務所内ごとの決まり事
アルバイトでの契約書に似ています(笑)
事務所との取り決めなので、その契約を破ると所属が取り消される場合もあるので、よく理解し、理解できないところについては、質問して理解しておきましょう。
ココに注意
サインしたからには、その契約を無効にすることは簡単にはできないので注意しましょう。
【3】大手事務所の場合と小規模事務所での所属の違い
所属になると、特に大手事務所と小規模事務所の違いが顕著になります。
大手事務所の場合は、マネージャーさんは何人もいて、マネージメント体制もしっかりしています。
出演依頼も直接来ることも多く、すぐ仕事に結びつくので大きな仕事に繋がりやすいと言えます。
小規模事務所の場合は、マネージャーさんがいない場合もあります。
「プレイングマネージャー」と言って、自分で営業して仕事の依頼を受けることもあります。
事務所に来る仕事の依頼は、ゲームアプリや18禁のゲームなどが多く、なかなか大きな仕事のチャンスはありません。
また、直接の仕事の依頼は、特に新人には回ってきづらいので、オーディションを受けることが主になるでしょう。
正式所属の中での区分がある
【1】ジュニア
所属となっても、声優としての努力を怠ることはできません。
所属から2年~3年はジュニアと呼ばれる立場で仕事をすることになります。
正式に声優として登録されるまでは、ジュニアと預かりの間のような立場です。
協同組合日本俳優連合(日俳連)に声優として登録されると、ジュニアと呼ばれる立場の声優となります。
ジュニアの期間は3年間で、ギャラは一律15000円です。
筆者の経験では、事務所の取り分と所得税を引くとだいたい5000円が手元に入ってきます。
ジュニアの時代は、言わば「お試し期間セール」のようなものなので、仕事はどんどん来ます。
ギャラが安いので、とりあえず使ってみようという仕事です。
ここで、良い印象を残せるかどうか、声優としての価値があるのかが見極められるので、声優になったからといって気を抜くことはできません。
【2】ランカー
ジュニアになり、3年が経過すると、ランカーと呼ばれる立場になります。
ジュニアからランカーになると、声優としての明暗がはっきりと分かれます。
ランクによってギャラが決まるので、ジュニア時代に良い評価ではなかった声優は一気に仕事が来なくなります。
声優の業界は狭いので、評判はすぐに広まります。
ジュニア時代に良い評判だった声優は、ランカーになってもどんどん仕事が入ってくるのです。
まとめ


大手事務所と小規模事務所では、預かりの立場に違いがあります。
大手事務所の場合は、狭き門ですが、預かりまで登れば、声優になる日も近いということです。
小規模事務所の場合は、預かりまでは進むことは比較的簡単ですが、その後の所属まで進むことが狭き門となります。
どの道を選んでも、声優になるには、どこかで狭き門をくぐれることが絶対条件なのです。
ココがポイント
所属になってからも、ジュニア、ランカーと進むので、気を抜いている暇はありません。
声優になったからといって、満足するようなら、売れっ子の声優にはなれません。
現状に満足せず、常に努力し、自分を磨くことをやめないようにしましょう。