今回ご紹介するのは声優にとって必要不可欠な「演技力」です。
「演技力」をあげればどんな役が来ても対応できるメリットがあります。
では早速、声優を目指すために必要な演技力を学んでいきましょう。
【はじめに】声優は俳優である!
と、その前に、お伝えしておきたいことがあります。
それは「声優」と「俳優」は同じであるということです。
体を使って演じるか、声を使って演じるかの違いはありますが「演じること」に違いはありません。
「声優業=俳優業=役者」。
ココがポイント
皆さんが目指しているのは「役者」であると言うことを忘れないでください。
役者としての力量をあげることが演技力をあげることになります。
「私は声優」などという解釈は演技の幅を狭めるだけです。
一人の役者として認められるよう演技力を磨いてほしいと思います。
【演技力1】発声
演技の基本は「発声」です。
「よく聞こえない」、「なにを言っているのかわからない」と思われてしまっては全てが台無しです。
しっかりと通る声でハッキリと言葉を伝えることが重要です。
ただし、決して「喉」から声を出そうとしてはいけません。
ココに注意
「喉」から出すと声をカラしてしまう恐れがあります。
「喉」からではなく「お腹」から声を出すように心がけてください。
お腹から声を出す有効な方法が「腹式呼吸」です。
この「腹式呼吸」を身につければ確実に「発声」が上達します。
また同時に「滑舌」の訓練をすることも大事です。
「腹式呼吸」で「早口言葉」を言うと効果がUPします。
※早口言葉は早口で言わなくても大丈夫です。
ゆっくりでもいいので口を大きく開いてしっかり丁寧に声に出しましょう。慣れてきたらスピードをあげましょう。
毎日訓練することで、必ず「発声」・「滑舌」は上達します。
「聞きやすい」、「言っていることがよくわかる」と思われるように日々訓練を徹底してください。
【演技力2】表情
人には「喜怒哀楽」があります。
この「喜怒哀楽」を一瞬でわからせる演技方法があります。
それは「表情の変化」です。
役者はそのつど、様々な人間(もしくは動物など)の「喜怒哀楽」を演じわけなくてはなりません。
例えば、嬉しくて笑顔になる役を演じる際には、演じている役者本人も嬉しく笑顔にならなければなりません。
上手い役者と言われる人たちはこの作業を気持ちの流れに乗って自然とおこなえるのです。
今から笑顔になろうと思って笑顔になるのは嘘の笑顔です。本当に気持ちの流れるままに自然と笑顔になる。これが演技です。
自然と表情を変化できるようにトレーニングしましょう。
オススメのトレーニング方法は「鏡の前で『喜怒哀楽』の表情」をつくることです。
表情を作る
① 喜んだ表情をつくります。
② 怒った表情をつくります。
③ 哀しい表情をつくります。
④ 楽しい表情をつくります。
これを繰り返すだけで充分なトレーニングになります。
慣れてきたら表情の変化をなるべく早くスムーズにおこなってください。
やっているうちに自然と変化できるようになります。
【演技力3】感情
つづいては「感情」です。
「表情」が「外側の演技」だとすれば、「感情」は「内側の演技」です。
「感情豊かに表現」することができれば演技力は格段にアップします。
ではどうすれば感情豊かに表現できるのでしょうか。それは気持ちに嘘をつかないことです。
本当に心から思うことができれば必ず感情豊かな表現になります。
例えば「演技で笑ってください」と皆様が言われたとします。
そのときに「笑う演技」をしていては感情表現ができていないのと同じです。
「笑う演技」とは「心から笑う」ことです。
演じようと思って「笑う」のではなく、本当に心から「笑う」ことが「演技」なのです。
感情を豊かにする方法でオススメな練習法は「友人と一緒に笑う」ことです。
友人と顔を向き合わせて「笑う」ことが感情表現につながります。
やってみよう!
試しに一度、友人と向かい合って無理矢理でもいので「笑って」みてください。
無理矢理笑っている友人と顔を突き合わせて自分も笑っているとバカバカしくなって自然と心から笑える瞬間が必ず来ます。
その心から笑った瞬間の感情を忘れずに記憶してください。
そして一人の時に「心から笑った瞬間の感情」を思い出して笑ってみましょう。
最初はうまくできなくても、何度も思い出しながら笑っていれば「瞬間の感情」を一人でも表現できるはずです。
これを応用すれば「怒ること」も「泣くこと」もできるようになります。
「笑った瞬間」を思い出すように「怒ったとき」、「泣いたとき」の記憶を思い出して何度も「怒って」、「泣いて」ください。
こうした記憶を思い起こす作業そのものが感情コントロールの訓練になります。
【演技力4】人間観察。
今日は「キャリア」。明日は「ホームレス」。
このように役者と言う職業は毎日演じる役がかわっていきます。
つまり、どんな人間でもしっかりと演じられる技量がなければいけません。
確かに自分一人の力だけで多くの人間を演じることはとても難しいです。
だったら人の力を借りてしまいましょう。
方法は簡単です。
自分の引き出しの中に多くの人間をしまっておくだけです。
そして必要なときに「キャリア」、「ホームレス」を自分の引き出しから出す。
これだけで色々な人間を演じ分けることができます。
引き出しを増やすには「人間観察」が効果的です。
日常生活の中で出会う人々を観察してクセや雰囲気などの特徴を覚える。
その覚えた特徴を一度自分の中に取り入れる。そして自分なりにアレンジして演じてみる。
わかりやすく言うと「モノマネ」みたいなものですね。
この方法、冗談抜きで演技力を高めるのにかなり有効です。
何度もやっていくと瞬時に特徴をつかんで自分のものにできます。色々な人を観察して自分の引き出しを増やしてください。
多ければ多いほど強力な武器になります。
【演技力5】読書。
声優は「声」を主体とするため、あるときは「少年」、またあるときは「老人」など、幅広い年齢層を演じる必要性がでてきます。
場合によっては同じ作品内、同じ収録日に「少年」と「老人」を演じたりすることもあります。
そんなときに役立つのが「読書」です。
ココがポイント
世の中には膨大な数の本が存在します。そして、その本の中には一つ一つの物語が存在しています。
本を読むことで、その物語を体験できます。
それと同時に「想像力」や「本を読み解く力」、「読解力」も身につきます。
役者が現場で最初に手渡されるのは「台本」です。
「読解力」を身につけておくことで「台本」がなにを伝えたいのかを把握できます。
台本の意味を把握できれば、おのずと演技プランも想像できるはずです。
また声に出して「朗読」すれば「読解力」や「想像力」だけではなく、「発声・滑舌」の向上にもつながります。
まさに一石二鳥、三鳥、四鳥の効果が期待できる「読書」。
演技力をあげたいのなら必ずやるべきだと思います。
【演技力6】自分を信じる。
演技をする上で必要なのは技術だけではありません。
「心の強さ」もまた必要不可欠な要素です。
「心の強さ」とは「自分自身に対する自信」です。
なにごとも「自分は出来る」と思えばきっと出来ます。
また逆に「自分には出来ない」と思えばきっと出来ません。
「この役は自分にしかできない。」、「この役をつかむのは自分だ」。「演技力なら誰にも負けない」。そんな「強い意志」、「自信」を持ってください。
そこに根拠はいりません。根拠のない自信は意欲になります。
この意欲があるからこそ前向きになれるのです。
声優になるという夢はとても大きいものです。ですが根拠のない自信を持てば、おじけずにチャレンジすることができます。
そしてその夢を実現するために、その自信を裏付けるために、相当な努力をします。
根拠のない自信を持って自分自身を信じてください。
それが努力となり、演技力となり、いつしかあなたの力となります。
【演技力7】成長する。
あるベテランの役者がこんなことを言っています。
ある役者さんの言葉
「役者というのは、演じる役の人生を伝える通訳みたいなもの。
だから通訳する人間が成長すれば伝えられる情報(演技)も大きなものになる。」
夢を恐れないでください。不安にならないでください。
怖い気持ちや不安を感じたら一歩前に進みましょう。それが成長です。
大丈夫。演技力に上限はありません。どこまでも挑戦しつづけることができます。
挑戦しつづければ、成長しつづけることができます。
成長への歩みをつづけていけば、気づいたときには声優になっているでしょう。