落語を聴きにいったことがある人はどれくらいいますか。
アニメ「昭和元禄落語心中」でアニメの中での落語を聴いた人はいるかもしれませんね。
声優になりたいみなさんはぜひ落語を1度は聴きに行ってみてください。
なぜかって?それをこれからご紹介していきますね。
1)落語って何?
【1】落語とは
噺の最後に「オチ」がつけて、滑稽な話をするのが落語です。
歌舞伎や能などとは違い、落語は身振りと手振りのみで噺を進めていきます。
落語は一人で全役を演じます。衣装はその落語家の着物のみで、小道具は扇子だけです。
舞台上には座布団が一枚だけ。
「噺」というのは、珍しい、目新しい物語という意味で、通常の「話」とは意味が異なります。
落語ではオチがある物語を「噺」と言います。
【2】落語は一人芝居のようなもの
舞台を一人で演じる一人芝居をご存知でしょうか。
落語と舞台の一人芝居はよく似ています。
どちらもすべての役を全部一人で演じます。
観客に相手の反応を想像させて、話を進めていくのがよく似ていますね。
違うところは、落語は「笑い」を中心として、噺が進んでいくこと、一人芝居は内容が笑いとは限らないということです。
また、落語は座布団の上で座ったままで進行します。
一人芝居は、座ったり立ったりと舞台上の動きがあります。
違いはありますが、落語と一人芝居は似ているのです。
【3】落語に似た講談もある
「講談」という伝統芸能もあります。
講談を演る人を「講談師」と呼びます。講談も落語と同じで、座布団に座って演じます。
講談と落語の違いは何なのでしょうか。
昔、一般の人は読み書きできる人は限られていたため、生活の教訓や決まり事を読んで理解することはできませんでした。
そのため、それを一つの物語にまとめ、演じて伝えていました。
それが講談の始まりです。講談は「講釈」とも呼ばれます。
現代では「講釈を垂れる」とは、だらだらと物事の説明をすることや、上から目線で物事を言うことです。
教訓や歴史を口頭で伝えるための「講釈」なので、そのような悪い意味になってしまいました。
対して、落語は噺を面白おかしく伝えることなので、教訓や歴史などはありません。
落語は、「お笑い」中心で娯楽、講談は「教訓」なのです。
そのため、落語では、落語を教えてくれる人を「師匠」と呼び、講談では講談を教えてくれる人を「先生」と呼びます。
2)落語を聴きに行こう!
【1】安くてずっと聴ける落語
落語を聴くには、寄席に行きます。
寄席とは、講談・落語・浪曲・萬歳(から漫才)などの演芸を観客に見せる興行小屋、もしくは興行をいいます。
寄席というと敷居が高いと思いがちですが、全くそんなことはありません。
木戸銭(チケット代)は2000円~くらいで、舞台に比べると本当に安いです。
しかも、予約も必要ないので気軽に行くことができます。寄席は、ほぼ毎日やっています。
昼の部は正午前から、夜の部は、だいたい午後5時前くらいから始まります。
一度入れば、ずっと居続けて構いません。
ココがポイント
1日中ずっと落語を聴くこともできて、超コスパがいいのです。
【2】寄席のマナー
寄席は、好きなときに入って好きなときに出ることができます。
寄席自体の再入場はお断りしているところが多いですが、客席は出入り自由のことが多いですね。
でもできれば、高座の切れ場(演芸と演芸の間)にする方がいいですね。
真打ちの前に長い幕間(まくあい)ではトイレが込みますが、十分時間もあるので慌てなくてもOKです。
観劇では飲食禁止ですが、寄席は飲食自由です。筆者が行った寄席でも隣のおばあちゃんはパンと牛乳で食べながら聴いていました(笑)
あまり音のするものやアルコール飲料はやめましょうね。
アルコールOKの寄席でも、飲みすぎて芸人に絡まないようにしましょう。
他のお客様や出演者に迷惑をかける行為に気をつければ大丈夫。携帯はマナーモードにしておいてくださいね。
お客さんが若い人だと芸人さんに結構絡まれます(笑)
【3】おすすめの寄席
自分の家から近い寄席や出先でちょっとついでに寄席に行くのもアリです。
寄席に行くことが多くなれば、どこがいいのかなどの情報が入ってくると思いますので最初は構えずにまずは行ってみましょう。
少し慣れてきたら、良し悪しもわかってきます。
観光用に寄席をしている場合もあり、そういった寄席はいまいちのことが多いです。
木戸銭も観光客向けだと少し高めです。
流派もいろいろありますので、好みの流派を選ぶのもいいですね。
観光者向けだと思う寄席
・浅草演芸ホール
・池袋演芸場
・新宿末廣亭
玄人向けだと思う寄席
・鈴本演芸場
・国立演芸場
・お江戸上野広小路亭
・お江戸両国亭
・お江戸日本橋亭
3)声優に落語が関係あるの?
【1】声優に落語は関係大アリ!
声優に落語は関係あるのでしょうか。
落語は、絵もなく、座布団1枚の上で何役も演じる演芸です。
声優にとってもそれは同じで、特にアニメだと線画といって、まだ絵が入っていない状態で収録されることもあります。
ココがポイント
そんなときに役に立つのがイマジネーションです。
落語を観たり、落語をやってみたりすることで、絵がない状態でも想像で補う感性を養うことができます。
声優と落語は共通することも多いのです。
【2】落語家が声優の仕事をすることも
三遊亭一太郎さん(声優名:会 一太郎さん)は落語家でありながら、声優として活躍しています。
講談師の中にも、忍たま乱太郎やクレヨンしんちゃんで活躍する一龍齋貞友さんも声優として活躍しています。
落語家や講談師とも共通点がありますので、声優の仕事をすることもあるのです。
【3】声優養成所で落語のレッスン?
声優養成所のカリキュラムに落語のレッスンがあるところもあります。
筆者が通った勝田声優学院では講談のレッスンがありました。
落語のレッスンがなぜ声優養成所に取り入れられているのかは、前述のとおり、噺をすることで、「人に伝えるということ」「間の取り方」「距離感」などを養うことができます。
【4】声優養成所卒業後に落語家・講談師になった人がいる
筆者が通った勝田声優学院では、講談のレッスンのときには、女流講談師の方が来てくださいました。
この方は勝田声優学院の卒業生でした。
また、筆者の同期で声優事務所所属のあと、退所して女流落語家として活動している人もいます。
声優養成所のレッスンをきっかけにして伝統芸能にハマってしまう人も多いんですよ。
4)落語のレッスンがある声優養成所・専門学校
【1】マウスプロモーション付属養成所
マウスでは、週に2回から3回のレッスンで選択授業があります。
殺陣・落語・日舞・ダンスの中から選択します。
落語の授業を選択すれば、落語家さんの授業を受けられます。
【2】スクール・デュオ(講義のみ)
スクール・デュオでは、講義のみではありますが、落語のレッスンが開講されています。
8月に開催とありました。
プロの落語家を招いてのレッスンですので、基礎から落語を学ぶことができますね。
【3】ケッケコーポレーション附属養成所
ケッケの附属養成所でも、落語のレッスンがありますよ。
基礎科から本科に進級すると落語のレッスンが受けられます。
ケッケも中堅クラスの声優養成所で、クラス数も多いのが魅力ですね。
【4】大分声優・演技教室
こちらは珍しい大分県の声優養成所です。
九州出身の声優志望者に向けたレッスンを行っているとのことです。
声優の基礎を学ぶにはいいと思います。落語は特別授業として開講しているようですね。
まとめ
落語は声優と共通するところがたくさんあります。
落語のレッスンを自分が通う声優養成所で受けられればいいですが、落語のレッスンがなくても寄席にはぜひ足を運んでほしいと思います。
昔から続いている伝統芸能は、続く理由がありますし、声優としての1つの引き出しとして役に立つはずですよ。