声優養成所の入所オーディションでセリフの課題で、初心者の方はどう対策していいのかわからないことが多いでしょう。
演技経験者は、自分でセリフを言うという経験があるでしょうが、ご紹介する方法を試してみるのもいいでしょう。
今回は声優養成所のセリフの課題を突破するための練習方法をお伝えします。
声優養成所のオーディション
【1】多くの養成所がセリフの課題を出す
入所オーディションの課題内容は声優養成所の募集要項のページに掲載されています。
いろいろな養成所のホームページを見ると、オーディションでセリフの課題を出すところが多いですね。
声優は声で演技をする職業なので、セリフの良し悪しで将来声優になる可能性があるのかどうかを見られているというワケです。
ホームページに掲載されていない場合でも、オーディション当日原稿を渡されてセリフを言うこともあります。
【2】セリフor朗読の課題
多くの養成所が短いセリフを課題にしますが、中には朗読を課題にする養成所もあります。
「セリフ」はある程度イメージがつくでしょう。「朗読」とはどんなものなのでしょうか。
セリフと朗読はよく似ているのですが、決定的に違うところもありますので、後程ご説明しますね。
セリフがオーディション課題のとき
【1】上手くなくてもOK
セリフの課題は、長いセリフであることはまずありません。
短いセリフの中で、そのキャラクターの性格、バックグラウンドをすべて集約した上で表現する必要があります。
しかし、声優養成所の、特に初心者向けの育成型養成所の場合は、セリフが上手くなくても問題ありません。
そのキャラクターをしっかりと表現しようとしていることが大切なのです。
【2】喜怒哀楽の素直な感情表現が大事
初心者向けの育成型養成所の場合、演技の技量が高いことを求めていません。
演者としての基本的な感情、喜怒哀楽が表現できるか、もしくは表現しようとしているかを見られています。
セリフを言うときの表情もその感情に合わせて変化させた方がやりやすいでしょう。
朗読のオーディションの課題のとき
【1】大まかにはセリフの課題と同じ
朗読の課題が出たとしても焦る必要はありません。
大まかにではありますが、見られているポイントはセリフと同じです。
つまり、喜怒哀楽という人間の感情を表現できているか、表現しようとしているかを評価しています。
【2】セリフと朗読の違い
セリフと朗読、何が違うのでしょうか。
セリフはその人のしゃべる言葉だけです。
朗読は、その人がしゃべる言葉の他に「地の文」が書いてあります。
物語を進める上で、情景を説明したり、キャラクターの動きや表情などを説明したりしている文章です。しゃべる言葉以外の説明文といったところです。
朗読の意味は、「感情を込めて、文章を読み上げること」です。
ココがポイント
◆セリフの場合
「おはよう!今日もいい天気だね。」
◆朗読の場合
「おはよう!今日もいい天気だね。」とニコニコしながら男の子は言いました。
朗読については、セリフの他に地の文も読みます。
地の文にキャラクターがあることは稀で、第三者が説明するようなイメージです。
「語り」とも言われます。
オーディションの課題の場合、地の文は感情を込めて読み上げることを期待されています。
地の文にも読み手の感情を表現できるキーワードがありますので、それをそのままの気持ちで読み上げます。
例文の場合、「ニコニコ」という感情が覗える言葉がありますので、読み手もニコニコしながら読むというのが一般的な方法です。
セリフの練習のやり方
オーディションの課題は当日渡される場合も多いので、普段から感情を表現しながらセリフの練習をすることをおすすめします。
余談ですが、女性の方が男性に比べて、感情表現が豊かで、セリフも朗読も初期レベルは高いと言われています。
女性は感情を表に出すことを幼少期からしている人が多く、男性は感情を表に出すことを良しとされていないからだと考えられているためです。
男性は特に、感情表現が薄い方が多いので、オーディションを受ける前には練習をしっかりする方がいいでしょう。
【1】短いセリフを練習する
まずは、短いセリフを練習しましょう。
例えば「おはよう。」というセリフだけを練習します。
いいことがあった朝はどんな「おはよう」になりますか?どんな表情になっているでしょう?
普通の感情を持っている方なら、「おはよう♪」というルンルンした気持ちで、ニコニコした表情になっていると思います。
違うバージョンも練習しましょう。
すごく悲しい出来事があった朝はどんな「おはよう」になりますか?
「おはよう・・・」と、今にも泣きだしそうな表情で表現できればOKです。
他にも「とても腹立たしい出来事があった」「今日は学校がお休みで朝寝坊した」などいろいろなシチュエーションを考えて、その状況にあった「おはよう」を練習しましょう。
喜怒哀楽の基本的な表現ができるようになればOKですよ。
【2】戯曲を探してセリフを練習する
短いセリフを練習できたら、次は台本を読んでみましょう。
インターネットで探してもいいですし、戯曲(演劇の台本)を図書館で借りてもいいですね。
ココに注意
1人芝居の戯曲もありますが、初心者には難易度が高いです。
できれば2人以上のセリフのやり取りがある戯曲がいいでしょう。
また、表現の違いがありますので、自分と同性のキャラクターが出てくる台本を選びましょう。
1人のキャラクターを選び、そのセリフを練習します。
短いセリフでも練習しましたが、そのキャラクターがどんな気持ちなのかをまず考えてセリフにします。
「どんな気持ちか」を考えることは非常に重要です。
そして、その気持ちはその前に起こった事象で湧き上がってくるものです。
ヒントは、そのセリフの前に必ずあるのです。
【3】他の人のセリフを聴きながらどんな気持ちなのかを考える
他の人のセリフのときに、そのキャラクターが何を考え、どんな気持ちなのかも考えていく必要があります。
ココがポイント
声優は、表情を視聴者に見られるわけではありませんが、他の人のセリフを聴いているときでも、そのキャラクターの気持ちを継続していなければなりません。
気持ちが途切れてしまうと、その前のセリフと辻褄が合わなくなってしまいます。
他のセリフの横に自分が演じているキャラクターの気持ちを書いていく方法がおすすめです。
そして、セリフを聴いているときにその気持ちを追う練習をします。
1人での練習の場合は、他の人のセリフをイメージするだけでOKです。
もちろん、録音してもOKです。
A
何なのよ!ここどこなのよ!もうっ、せっかくみんなで楽しく過ごそうと思って来たのに!
B
(Bの気持ち:Aさん、すぐ怒るんだもの・・・。ちょっとうっとおしいなあ。)
そうだね、私もそのつもりで来たんだよ…。みんなもそう思ってるんだよ。
この例文では、旅行に行ったけど道に迷ってしまったという設定が考えられます。
Aは短気な性格、Bは空気が読める仲裁役だなあとキャラクターが大まかにつかめればOKです。
AとBのセリフに挟まれた、カッコで書いたところが気持ちです。
この気持ちを意識しながら、Bを演じる練習をします。
【4】気持ちがないセリフは存在しない
人の気持ちは途切れることはほぼありません。
ぼーっとしていて何も考えていないという場合もありますが、それ以外は何か考えたり、感情が動いていたりするものです。
自分のキャラクター以外のセリフも含め、すべてのセリフには気持ちが存在します。
そして、他のセリフを聴いているときにも、気持ちは動いています。
セリフの練習は気持ちの練習と言っても過言ではありません。
【5】キャラクターになりきるということはどういうことか?
ときどき、セリフの語尾が「~だわ」とか、「~だよ」とかが言いづらいからと、語尾を自分の言いやすいように変えてしまう方がいます。
しかし、この語尾になぜなっているのかを考えてみましょう。
キャラクター=性格、人格という意味もあります。
ココに注意
その台本のそのセリフは、そのキャラクターを表現している1つの要素です。
ここで語尾を変えてしまうことで、キャラクターの性格も人格も変わってしまうことになります。
台本の中のセリフは変えないのが鉄則です。
キャラクターになりきるということは、セリフ、表情、動きのすべてを理解し、表現できるということなのです。
まとめ
壮大な話になってしまったのですが、本当にセリフは奥深いものです。
声優養成所に入ってから、徐々に慣れていっても問題ありません。
しかし、継続して練習しないと感覚的なものは掴めません。
オーディション対策としては、喜怒哀楽が表現できるところまでしっかりやっておけばOKですが、セリフは声優の醍醐味でもありますので、練習してぜひコツを掴んでくださいね。