声が通りづらいと自分の録音した声を聴いて思ったことはありますか。
声優にとってマイクは必須アイテムですよね。
スマホで録音してみて自分の声が通らない、乗らないなあと感じたことがある人はいるでしょう。
でも安心してください!声優が使うマイクはスマホのマイクとは性能が違います。
自分の声がマイクに良く通る、マイク乗りしやすくするにはどうすればいいのでしょうか。
声優は声の出方が違うの?



【1】普段の声は普通
声優の声って独特な人もいますね。でも、普段はそんなことがなく、普通の声で話している人がほとんどです。
ココがポイント
もちろん地声が独特の方は除きますが、仕事以外の普段は、役を演じていないので、本当に普通の声なんですよ。
アイドルマスターで有名なアーツビジョンの下田麻美さんと舞台を一緒にやったときも、彼女は楽屋では普通の声で話していました。
先輩である高木渉さんも、普段は名探偵コナンの元太くんの声ではないのです。
おそらく、TVに出ていない声優は、町中で見かけても全く気付かないと思います。
普段から良く響く、マイク通りの良い声で話す声優はいません。普段は普通の声で話しているのです。
【2】仕事の時の声は違う
特に外画のお仕事をしている声優は、リアルな人間を演じるのですから、声を作る演技はほとんどしません。
アニメに出演する声優は、役によっても違いますが、自分の持っている声を多少誇張して役作りをする場合はあります。
そして、外画でもアニメでも仕事の時はびっくりするくらい良く通る声で演技をします。
作った声は、音も響きにくくするので、あまり使う人がいないのが現状です。
たとえ作っていても、響く、通る声、マイク乗りのいい声をプロの声優は知っているのです。
マイクに入りづらい声ってどんな声?
声優として仕事をする上で、録音するマイクに声が乗らない人がいます。
「マイク乗りが悪い」という言い方をされますが、マイク乗りが悪い原因はいくつかあります。
【1】滑舌が悪い声
滑舌が悪くて、はっきりした発音ができない場合があります。
声は「音」なので、滑舌が悪いと、マイクに入らない音が多くなります。
また、息漏れが多い滑舌だとマイクまで音が届きません。
普段からきちんとした滑舌での訓練をしていないと、音がくぐもって、マイクに乗りづらくなります。
【2】音圧がない声
出している声が弱いときはマイクには乗りづらくなります。
ココに注意
声が弱いというのは、声質もあると思いますが、息の量が少ない場合が圧倒的に多いです。
芯がない声は、「細い声」になるため、マイクでも拾うことができなくなり、マイクに乗りづらいのです。
【3】ハスキーボイス
ハスキーボイスは、普通の声よりも息が漏れやすい声です。
そのため、マイクに声が届く前に漏れてしまい、届かずにマイクに乗りづらくなります。
かといって、ハスキーボイスは声質ですし、普通の声にすることはなかなかできないので、マイク乗りを良くするのは結構大変です。
【4】作った声
作った声が、自分の制御できる音域なら問題ないのです。
自分が制御できないくらいの音域の声で演技しようとすると、マイクまで音が届きません。
プロの声優が作った声で演技できるのは、自分の音域を越えず、マイクにきちんと乗る声であることを知っているからです。
声優が使うマイクってどんなもの?


【1】マイク乗りがいいのか悪いのかは判断しづらい
自宅で練習するときに、スマホで録音している方もいると思いますが、スマホのマイクではマイク乗りがいいか悪いかの判断は難しいでしょう。
カラオケのマイクの場合、エコーがかかっていたり、ボリューム調整ができたりします。
また、演技する声と歌は違うものなので、声優としてマイク乗りがいいのか悪いのかの判断はできません。
【2】声優が使うのは高級マイク
声優がスタジオ収録で使用するマイクはコンデンサーマイクと言います。
非常に高価で、20万円~100万円となかなか自分では買えないお値段のものです。
ちょっとした呼吸の音、リップノイズ(唇が離れるときに出る音)なども余裕で拾います。
声優の森川智之さんは、スタジオのマイクを破壊した伝説をお持ちです。
声優さんの大声でも破壊されてしまうくらい、繊細で高級なマイクってことなんです。
森川智之さんの声がマイクを破壊するくらい大きいということでもありますが…。
【3】スタッフさんが調整してくれる
スタジオのマイクは声優さんが触ることは絶対にありません。スタジオ収録は完全防音の部屋を使います。
仕事のときは、声優さんは演技だけをするために来ています。
マイクの調整は、スタッフさんの仕事です。
繊細な機器なので、マイクの調整は、スタッフさんが行うものです。
これは声優の卵だろうが、ベテランだろうが変わらない声優業界のルールです。
【4】マイクの高さに合う靴を履こう
身長が高すぎる、低すぎることでお悩みの方もいるでしょう。
身長が高すぎる人は、足を前後に開いて中腰になって演技します。
低すぎる人は、ヒールが高い靴や厚底の靴を履いて現場に入ります。
アニメや外画の場合は、スタジオに3本くらいのマイクがあります。
最初にマイク調整をしてもらえますので安心してくださいね。
ナレーションの場合は、自分にぴったりの高さにしてもらえます。座って収録することも多いので問題ありません。
マイク乗りのいい声を出す方法


どんなにマイクが高級でも、弱々しい声ではマイクに入らない可能性があります。
通う養成所によっても違うのですが、マイクワークのレッスンがあれば、自分の声がどのようにマイクに入るのか確認しましょう。
講師の方からも指摘されることもあります。
できるだけマイク乗りを良くするにはどうすればいいのでしょうか。
【1】腹式呼吸で発声する
腹式呼吸で発声するというのは、声優になりたい人は聞いたことがあるでしょう。
喉を締めている発声は、出ていく息の量が少なくなるので、声がマイクまで届かないのです。
普段の演技から腹式呼吸でできるようにしておけば、マイク乗りを気にするような小さな声にはなりません。
また、ウィスパーというささやき声を演技ですることもありますが、小さくても腹式呼吸であれば、ちゃんとマイクに乗ります。
【2】声を前に飛ばす
大きな声を出してもマイクに乗らない場合は、声が分散してマイクまで届いていないことが考えられます。
声を槍のようにして、自分の前に飛ばすようなイメージでマイクに当てるようにすると、マイクに入りやすくなります。
【3】マイクを喉に向ける
カラオケのマイクでも練習できます。マイクを自分の喉に向けて声を出します。
スタジオマイクの場合は、あらかじめ自分の方に向くように調整されています。
ベテランの声優さんは、自分の立ち位置でマイクの入りが違うのを知っているため、立つ位置も気にしている方が多いと聞きます。
自分の喉に向けてマイクの位置がくるように体を調整しているんですね。
【4】マイクとの距離は30センチくらい
養成所でもよく教わりますが、マイクとの距離は約30センチと言われます。
でもこれはあくまでも目安です。
どうしてもマイクに自分の声が入らないのであれば、マイクとの距離を少し縮めてみましょう。
自分が出している声がミキサーさんから何度も小さいと言われた場合は試してみるといいでしょう。
まとめ
スマホのアプリで録音した音とスタジオのマイクで録音した音は全く違います。
自宅で練習するときには、スマホアプリで録音すると思います。
でもマイク乗りがいいか悪いかは、実際のマイクの音で判断した方がいいですね。
筆者も普段は声が小さいわけではなかったのですが、緊張しすぎて、スタジオで声が小さいと言われた苦い経験があります。
普段からやや大きいと思う声で練習しておくといいですね。