声優になるための条件として高校卒業資格は必須と言われています。
しかし、その後大学に進む方もいます。
声優になるのに、大学にも行くことは必要なのでしょうか?
今回は大学に通いながら声優の勉強をすることについて説明していきます。
1)声優になる人は大学に行った方がいいの?
大学には行った方がいいのか、高校卒業後すぐに養成所に通うのか迷いますね。
大学に行くとメリット、デメリット両方の側面があります。
【1】大学に行くメリット
(1)保護者の理解を得やすい
保護者は「声優で食べていく」ことについて、良い顔をすることは少ないと思います。
自分の子供は安定した収入を得て、普通に結婚し、普通に幸せになることを願う保護者は多いです。
例えば学費の面についても、大学なら授業料を出すけど、声優養成所は出さないといった保護者の考えは、大人になった今なら筆者も理解できます。
将来的に声優になれない可能性の方が高い世界ですから、無理もありませんね。
ただ、大学を卒業して、自分で学費をためて声優養成所に行く!となれば、保護者の反対も軟化しやすくなります。
高校卒業からすぐに声優養成所に行くよりも、保護者の理解を得やすいという点では大学まで出ておくという手段も考えておきましょう。
(2)お金を貯める時間が作りやすい
大学では、1、2年の間は、講義が多いのでなかなか時間が作れません。
3年生以上になると、バイトを増やしても問題ないくらいの時間がとれます。
就職活動を周りがしているときでも、その時間でバイトをしてひたすら養成所に行くためのお金を作ることができます。
家庭教師は大学生のアルバイトとしてはかなり待遇がいいのでおすすめです。
筆者は、コンビニ、飲食店、家庭教師を掛け持ちして、月に20万円くらいの自由になるお金をかせいでいました。
(3)声優になれなかったときに潰しがきく
声優養成所に行ったとしても、途中で挫折することも視野に入れておきましょう。
その場合、高卒と大卒では就職にも差が出ることがあります。
ココがポイント
大学で学んだことを生かして就職も可能なため、方向転換がしやすいというメリットがあります。
また、大学に行き、専門的な方向で興味が涌いて、別の道に進むこともあります。
【2】大学に行くデメリット
(1)時間を費やしてしまう
声優業界は低年齢化が進み、アニメの声優は20代後半だとなかなか仕事が来ないこともあります。
大学4年間という時間を声優の勉強にすべて使うことができないのです。
アニメ声優になりたい方には、デメリットになるでしょう。
(2)どっちつかずになる
大学の勉強、声優の勉強と2足の草鞋になるのですから、どうしてもどっちつかずになります。
逃げ道がない分、必死で勉強するので、声優には近づくと思います。
どちらも中途半端に終わってしまうというデメリットですね。
2)大学の声優学科は未知数
【1】大学の声優学科を設置している学校
大学で声優学科を設置している学校を挙げておきます。
国立大学は声優になるための学科を設けている大学はありませんでした。
私立大学、短期大学が声優を掲げているようです。
- 淑徳大学 人文学部表現学科
- 大手前大学 メディア・芸術学部
- 桜美林大学 芸術文化学群
- 梅花女子大学 文化表現学部
【2】実績が分からない
実際に声優の学科を設けていても、実績として「声優になって売れている」というデータがないのが現状です。
少しでも声優の勉強をしたいけど、保護者が理解してくれない場合には、大学でかじる程度で教わることも可能というくらいに思ってください。
学科は「声優学科」があるわけではなく、保育やメディア学科の一部で勉強できます!という内容なので、あまり期待しない方がいいでしょう。
【3】声優になれるかは未知数
大学の声優学科からプロになったという話は今のところ聞いたことはありません。
その大学出身で、その後声優養成所に行ってプロになった人はいるでしょう。
ただし、声優業界が人気になっている今、今後大学でもプロ声優や音響監督などを講師に招いて、実績を上げる学校も出てくる可能性はあります。
声優になれるかどうかは未知数です。
3)大学に通いながら声優の勉強をするときの注意点
大学生という立場上、いくつかの注意点があります。
【1】大学での勉強を疎かにしない
せっかく大学に行ったのですから、大学の講義もしっかりと受けましょう。
大学の講義は、声優に直接関係ないと思うかもしれません。
しかし、声優には人生経験や一般常識も大切です。
大学在学中の経験もその人の糧になりますし、講義で教わることもその人の糧になるのです。
声優にとって無駄になることは1つもありません。
【2】奨学金をもらうのはおすすめしない
大学に行くのに、奨学金をとることは一般的になりつつあります。
昔は返す必要がない奨学金もありましたが、今は奨学金=学資ローンだと思った方がいいです。
最終目的が「声優になる」のであれば、声優のギャラで奨学金を返すことは不可能に近いです。
大学に行くのに、奨学金をもらって通うことはおすすめしません。
【3】卒業する
これは、高校生でも同じですが、学費を支払って大学に行っているのですから、当たり前のことです。
声優の勉強や大学での遊びに夢中になりすぎて、単位を落とし、留年する…なんてことは時間とお金の無駄遣いです。
ココがポイント
興味がない講義を無理にとらなくてもいいので、留年せずに卒業できるようにしましょう。
自分で決めたことをやり遂げるという姿勢も声優には大切なことです。
大学に行くと決めたのは自分です。
言い方は良くないですが、大学の卒業くらいできないと声優にはなれないと思ってください。
自分の決めたことをやり通す!という意志が必要です。
4)大学に通いながら声優養成所に行くには?
では、大学に通いながら、空いた時間を縫って声優の勉強を始めるのはどうでしょう。
大学は1、2年生は必須科目が多く、忙しく、3年生以降は比較的時間ができます。
大学に通いながら、声優養成所に行くにはどうすればいいのでしょうか?
【1】東京の大学に進む
環境が許せば…という条件つきですが、地方の方は東京の大学に進むのが一番良いです。
大学に行くことで保護者の理解も得やすいですし、その大学が東京ならば、声優養成所にも同時に通うこともできます。
ちょっと仕送りが大変ですが、保護者の方に理解してもらえるように、頑張るしかありません。
東京に実家がある方はとてもラッキーですね。
経済的な面で保護者にも当人にもメリットです。
【2】レッスン回数が少ない養成所を選択する
大学生は時間が作りやすいというメリットを生かし、週に1、2日ならば大学生活にも支障をきたしません。
ココがポイント
しかも、昼間の養成所レッスンでも、大学の講義をうまく調整して受けるようにすれば、大学講義→養成所レッスン→大学講義という流れでアルバイトの時間も十分取れます。
このスケジュールで声優養成所に通うのであれば、養成所のレッスンは2時間半~3時間のことが多いので、時間がとれる3年生くらいからがいいでしょう。
【3】サークル活動に参加するのは困難
大学生活の経験は声優としても後々生きることもありますので、サークルに入ること自体は問題ありません。
しかし、大学、声優養成所、アルバイトなどでスケジュールがいっぱいになるため、活動が活発なサークルは避ける方が無難です。
大学に行っている目的はなんだったのかを意識すると、サークル活動に参加するのは困難でしょう。
あれも、これもと欲張り過ぎると、どれも中途半端になる可能性が高いです。
【4】劇団、演劇サークルの活動はしない方が良い
とは言っても、サークル活動もやってみたいと思う方もいるでしょう。
サークル活動がどんなものなのか経験することも人生経験ですから、時間やお金に余裕があるのならば、サークルに入るのもいいですね。
しかし、個人的には劇団や演劇サークルに入るのは避けた方がいいです。
演技の根本は同じですが、実質、舞台の演技と声優の演技は異なります。
しかも、プロではない人の集まりですから、変な癖がついてしまうこともあります。
また、舞台をやっていても、声優に有利にはなりません。
これは筆者も経験しているので事実です。
まとめ
大学に行くことは、声優になるために直接的に有利になるわけではありません。
大学に行かなくても声優になることは可能です。
ココがポイント
しかし、大学に行くことでいろいろな人と出会い、人生の経験ができます。
また、方向転換もしやすいというメリットはあります。
ある声優業界のスタッフさんが「大学に行く経験をした方がいい」というコメントを出しているくらいです。
大学に通いながら声優養成所に通えるのならば、それが一番いいと思います。
また今は考えたくないと思いますが、「声優になれなかったとき」という結果も当然あることを忘れないでください。
筆者は、大学卒業後に声優の勉強を始めましたが、大学に行ったことでメリットもデメリットもありました。
自分にとって最良の選択、後悔しない選択をしましょう。